(太陽発電衛星研究会)宇宙太陽発電システムシンポジウム講演要旨集目次

第10回 講演要旨集(2007年8月:東京大学[柏]) 108頁

シンポジウム開催当時の写真

企画公演「ミリ波技術とエネルギービーミング」

  1. 「マイクロ波ロケットによる大量輸送」
     小紫公也(東京大学_大学院新領域創成科学研究科_先端エネルギー工学専攻)
  2.  SPS建設の経済性を議論する上で,地上から静止軌道への資材打ち上げコストを現在の化学ロケットの輸送コストから2桁低減することが不可欠であると考えられている.我々の提案する「マイクロ波ロケット」は,輸送機の推進エネルギーをミリ波領域の高エネルギービームを用いて地上から供給し,空気を吸い込んで推進剤とすることで,高ペイロード比を実現し2桁のコスト削減を達成しようというものである.現在170GHz,1MWのミリ波を用いて研究開発を進めている.

    要旨本文

  3. 「<長友先生とSPS>SPS研究会の設立」
     松岡秀雄(代表幹事、帝京大学_経済学部)
  4. 要旨本文

  5. 「<長友先生とSPS>長友先生のSPS研究の歴史」
     佐々木進(ISAS/JAXA)
  6. 要旨本文

一般講演

Ⅰ. SPSサブシステム技術

  1. 「太陽電池模擬電極へのマイクロ波照射実験」
     池田顕夫;加世堂康平;趙孟佑(九州工業大学)、久田安正(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)
  2.  SPSで使用されるマイクロ波が直下を通過する衛星やSPS自身の放電を誘発する.SPSに致命傷を与える可能性があり,放電発生の有無を調べるための地上実験を行なっている.太陽電池セルの大きさが異なる2種類のクーポンへの5.8GHzマイクロ波照射の結果,片方のクーポンでしか放電が起こらなかった.この原因がセル電極の形状(長さ・間隔)にあると考え,模擬電極を制作し,電極の形状の違いによる放電の起こりやすさについて調べた.

    要旨本文

  3. 「高電圧太陽電池アレイのプラズマ干渉における電位分布の影響」
     岩佐稔(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)、田中孝治;佐々木進(ISAS/JAXA)、小田原修(東京工業大学)
  4.  The influence of the potential distribution on the high voltage solar array on the ambient space plasma has been studied for the development of the space high power application that has a strong resistance to plasma interactions. It has been found that the charging effect and secondary electrons of the dielectric material play an important role in collection of the electrode current. In the array configuration, the current of each electrode was generally suppressed as compared with that of single electrode, but a rapid enhancement of the electrode current was observed when spacing of the electrodes was less than a critical value. In some potential distribution, the suppression effect of the current collection have been confirmed. These results indicate a possibility that we can suppress the high voltage plasma interaction if we select proper distribution of the solar array voltage.

    要旨本文

  5. 「方形パッチアンテナを用いた平面アレイにおける相互結合の影響に関する研究」
     高橋文人;橋本弘蔵(京都大学_生存圏研究所)
  6.  現在SPSで用いられるアレイアンテナではアンテナ間の相互結合の影響は無いという前提の下で研究が行われている.本研究では素子間隔や素子間位相差,素子数を変化させてシミュレーションや実験を行い,アンテナ間相互結合の影響の有無を調べる.シミュレーションにおいてリニアアレイでは素子間隔が0.5λ以上でメインビーム方向が約31°以内であれば影響を無視でき,平面アレイではリニアアレイとほぼ同じ結果になった.アンテナパターンのサイドローブを用いた評価では,素子間隔が0.54λ以上又はグレーティングローブが生じない範囲であれば影響を無視できる.実験では素子間位相差が90°以内では影響は見られなかった.

    要旨本文

  7. 「On the Gain of an Aperture Array Antenna with Gaps Filled by Parasites」
    Tadashi_Takano(The University of Tokyo, ISAS/JAXA), Damri_Radenamad(The University of Tokyo), Taizo_Isono(Tokyo University of Science)
  8.  Ultra-large antennas with a diameter of several 100 m or even 1 km are required for solar power satellite systems. The aperture array antenna is one of the promising concepts to construct an ultra-large antenna. It was formally proposed to load parasitic elements of half wavelength dipoles between elements apertures in an aperture array antenna. The objective of this configuration is to fill the gaps, and to adjust the phase relation between the directly radiated wave from the element apertures and the scattered wave by the dipoles. In this paper, the aperture array antenna with parasitic elements will be investigated through simulation and experiment. The radiated field from the antenna is analyzed on the basis of vectoral relations so that the conditions to enhance the antenna gain are clarified.

    要旨本文

  9. 「作業ロボット用マイクロ波受電システムの試作」
    藤原暉雄;高橋吉郎;長野賢司(㈱IHIエアロスペース)、古川実(日本電業工作㈱)、石井忠司((資)次世代技術)、川崎繁男;篠原真毅(京都大学_生存圏研究所)、佐々木進;田中孝治(ISAS/JAXA)、久田安正(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)、藤野義之(NICT)、三原荘一郎;安西徳夫;小林裕太郎(USEF)
  10.  宇宙太陽発電システムの基本技術であるマイクロ波無線伝送技術は,作業ロボットの分野においてもエネルギー伝送用としての期待が大きいことから,作業ロボット用としてマイクロ波無線伝送システムが試作され,マイクロ波送受電実験が実施された. 宇宙太陽発電システムにおけるマイクロ波無線伝送の場合,受電側では一定のマイクロ波電力を入力し,一定の電力を出力することになるが,作業ロボットでは,入力電力,出力電力共に変動する. 本講演では,受電システムに焦点を絞り,試作・試験の概要を報告する.  

    要旨本文

  11. 「柔軟宇宙構造物模擬装置によるテザー型SSPSの動特性解析」
    皆川洋平;小島幸高;古賀雄介;渡部武夫;草谷大郎;藤井裕矩(首都大学東京)、安間健一;新津真行;布施嘉春(三菱重工業㈱名古屋航空宇宙システム製作所)
  12.  SSPSに代表されるテザーを伴う柔軟宇宙構造物に関して,テザー張力による柔軟宇宙構造物制御の有効性を数値的,実験的に示した. 偏微分方程式を用いた柔軟パネル-テザー系の柔軟構造物の制御シミュレーションによる数値解析を行い,初期外乱を与えて励起されるパネルの振動を,ミッションファンクション制御理論を用いたテザー張力制御を用いることで振動抑制が可能であることを示し,テザー張力制御の有効性を示した. また柔軟宇宙構造物模擬装置と,微小張力アクチュエータを用いて,テザー張力によるパネルの振動制御実験を行った.得られた実験結果と数値解析結果の比較検討を行い,数値解析の有効性を実験的に検証した.

    要旨本文

Ⅱ. マイクロ波電力伝送

  1. 「5.8GHzフェーズドアレーを用いた小型飛行隊へのエネルギー伝送」
     小松周平;嶋根愛理;小紫公也(東京大学_大学院新領域創成科学研究科_先端エネルギー工学専攻)、荒川義博(東京大学_大学院工学系研究科_航空宇宙工学専攻)
  2.  5.8GHzフェーズドアレイを用いて小型飛行体へエネルギー伝送を行うシステムを構築した.飛行体から発信されるパイロット信号を2次元アレイアンテナで受信し,ソフトウェアリトロディレクティブ方式でエネルギービームを送り返すシステムで,5要素2次元ホーンアンテナアレイから3.5Wのエネルギーが発信され,飛行体のレクテナアレイでモーター駆動動力に変換される.

    要旨本文

  3. 「宇宙エネルギー送電・情報通信同時伝送システムのマイクロ波工学的検討」
    川崎繁男;清田春信;川井重明;山本剛司;中島勝利;篠原真毅;橋本弘蔵(京都大学_生存圏研究所)、三原荘一郎;小林祐太郎(USEF)、藤田辰人;森雅裕(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)
  4.  情報通信の分野で,基地局などに用いられていた高出力回路の技術は,SSPSなどの無線電力送電部においても,重要な要素技術である.この高出力回路は,エネルギー伝送の場合,電力の伝達の役割のみであるが,情報通信の場合は情報伝達の担い手となり,これに情報が変調信号として加わる.これらは,ハードウェアとしては共通のデバイスを用いて,同時に行うことが可能性である.本研究では,SSPSにも適用可能な無線電力送電と宇宙機情報の通信を同時に行える半導体デバイスを用いた送電・送信部の検討を,AIAアレーの試作結果とともに示す.

    要旨本文

  5. 「小型衛星を用いたSPS実証実験計画」
    田中孝治;佐々木進(ISAS/JAXA)
  6.   太陽発電衛星実現のための主要技術である軌道上から地上へのマイクロ波送電技術は,チャレンジングな未踏技術であるが,我々はその中枢となる要素技術を小型衛星を用いた宇宙実験により検証することを検討している.宇宙実験は二つの主目的から なる.一つは,大型展開アンテナの構造維持とビーム制御技術を中心としたマイクロ波ビーム制御能力の実証であり,もう一つは,電離層におけるパイロット信号の位相擾乱と主ビームの非線形現象の評価からなるマイクロ波の電離層通過の実証である.また,副次的目的として,軌道上平板パネルの展開方法の実証や既存の通信インフラ に対する電磁適合性の実証となる不要波の抑圧レベル評価も検討している.

    要旨本文

  7. 「マイクロ波無線伝送技術の飛行実証実験の試み」
    山川宏;橋本弘蔵;川崎繁男;篠原真毅;三谷友彦(京都大学_生存圏研究所)、平野敬寛(京都大学_大学院工学研究科_電気工学専攻)、米倉秀明(京都大学_工学部電気電子工学科)、藤原暉雄(翔エンジニアリング)、長野賢司(スペーステクノロジー)
  8.  宇宙太陽発電所の基本技術の1つであるマイクロ波無線伝送技術を,飛翔体を使って 実証する実験を検討している.本講演では,この飛翔実験の概要,準備状況について 報告する.また,無線LAN等,マイクロ波による情報送受信技術の研究が盛んに進められているが,これに電力送信という観点を付加することにより,将来に展開可能な 多様なマイクロ波技術のアプリケーションの例を示す.

    要旨本文

  9. 「公開されたURSIのSPS白書」
    橋本弘蔵(京都大学_生存圏研究所)、松本紘(京都大学)
  10.  URSI(国際電波科学連合)の最初の白書,URSI White Paper on Solar Power Satellite (SPS) Systemsが本年6月に公開された.ReportとAppendicesは,私たちを中心とするURSI全委員会にまたがるSPS作業委員会(SPS ICWG)でまとめられたが,本文はBoardでまとめられ,URSIを構成しているcommissionsでの合意を得たものである.白書の概要は昨年に紹介したが,今回は最終的な本文,ならびに,白書作成の過程で得た種々のコメントとそれに基づく記述等を中心に紹介する.なお,白書が公開されているURLは,http://www.ursi.org/WP/White_papers.htm

    要旨本文

Ⅲ. SPSシステム

  1. 「植物へのマイクロ波照射実験」
    村上寛;岩田敏彰;阿部宜之;戸田義継(AIST)、斉藤賢一(日本獣医生命科学大学)、奥田俊郎(三和農林)、工藤勲(JAXA)、斉藤孝(USEF)
  2.  宇宙発電衛星の実用化にむけた研究は進んでいるが生態系への影響は十分調査されていない.小松菜やカイワレダイコンなどの植物を用いて2.45GHのマイクロ波照射実験を屋外実験と屋内実験で実施したところ10mW/cm2以上の密度で成長促進が観察された.また将来期待されている5.8GHzのマイクロ波による照射実験でも2.45GHzと同様の結果が得られている.昨年度5.8GHzによる照射実験でマイクロ波電力密度が明確になっていなかったことから評価ができなかった.今年度はこの電力密度を計測して照射実験を行ったので,その結果について報告する.

    要旨本文

  3. 「テザー型SPSのCO2負荷(暫定版)」
    朝倉啓一郎(流通経済大学経済学部)、中野諭;吉岡完治(慶應義塾大学産業研究所)
  4.  われわれは,未来技術のCO2負荷計算の一環として,大規模な発電システムである宇宙太陽発電衛星(Solar Power Satellite;SPS)に注目してきた.SPSは化石燃料に依存しないクリーンな発電技術ではあるが,システムの建設に膨大な物資とエネルギーを必要とする.したがって,これまでに,DOE/NASAリファレンスシステム,SPS2000,およびUSEF型SPSシステム等の構造設計にもとづいて,建設・運用時のCO2負荷を計算し,既存の発電システムのCO2負荷と比較研究を行ってきた.本報告では,近年提案されたテザー型SPSに着目し,環境分析用産業連関表をもちいてCO2負荷計算を行い,その建設時および電力生産単位あたりのCO2負荷を明らかにする.

    要旨本文

  5. 「USEFにおけるSSPS検討状況」
    斉藤孝;三原荘一郎;小林裕太郎;金井宏(USEF)
  6.   当財団(USEF)では宇宙太陽発電システム(SSPS)の調査研究を行ってきた.平成12年度からSSPS全般に関する調査を実施し,経済,環境及び技術面からの検討,および実証実験システム等の検討を行った.平成16年度からは,「太陽光発電利用促進技術調査」として地上での無線送受電に係わる技術検討およびその安全性・環境性等について調査を実施し てきた.要素試作も平成13年度から実施し,平成17年度よりは移動体への無線送電を前提にした試作も開始し,平成18年度にはローバーについて無線送受 電を行った.今後,SSPSシステムについてはさらに実現性を重視した宇宙機システムおよび無線送受電方式について検討を進めてゆく.

    要旨本文

  7. 「JAXAにおける宇宙太陽光利用システム(SSPS)研究の現状」
    鈴木拓明;藤田辰人(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)、新野正之(航空宇宙技術振興財団)、森雅裕(ISTA/JAXA高度ミッションセンター)
  8.  近年,エネルギー・環境問題解決のために,太陽光エネルギーの有効利用が期待されている.宇宙航空研究開発機構では,宇宙空間で太陽光エネルギーをマイクロ波またはレーザー光に変換し,地球にエネルギー伝送するマイクロ波方式宇宙太陽光利用システム(SSPS)及びレーザー方式SSPSの研究開発を進めている.本システムは,太陽光エネルギーからマイクロ波,レーザー光へのエネルギー変換を宇宙空間で行うことにより,24時間365日太陽光エネルギーを利用し地球にエネルギー伝送できるため,太陽光エネルギーを有効利用したエネルギー供給システムとして期待されている.本講演では,JAXAにおけるSSPS研究の現状および今後の展望等について報告する.

    要旨本文

  9. 「SSPSにおける社会的受容性に関する検討-2003、2006年度のアンケート結果からー」
    吉田裕之(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)、長山博幸(㈱三菱総合研究所)、森雅裕(ISTA/JAXA高度ミッション研究センター)
  10.  SSPS の開発を進めていくためには,国民の社会的受容(PA)が不可欠であることは既に認識されているところである.国民の社会的受容については,SSPSの開 発の全ての過程を通して考えられていくべきものであるが,国民の社会的受容,つまり国民間意識の現状を常に把握しておく必要があり,アンケートによって成 人の意識を調査した.  SSPSについての国民の意識に関するアンケートは既に2003年度にも実施しており,この結果との比較も交えて,2006年度の調査結果を報告する.

    要旨本文